箸のマナー
施設で働いていた頃、何度か利用者のお別れに立ち会いました。
親族の冠婚葬祭には呼ばれず、家族の誰一人も面会には来ず、亡くなった時には施設でお葬式をし、施設の共同墓地に入る。
それが現状です。
かわいそう?
そうかもしれません。
でも、それは私たちの勝手な思い込みかもしれません。
利用者の中には障がいを持っていると分かった幼少期から施設に入れられ、家族と一緒に住めず、社会から隔離され、世間から隠れながら過ごしてきた人がたくさんいます。
そんな方々が亡くなってお葬式に立ち会う時、
なんで家族は来てくれないんだ?
この人はなんのために産まれてきたんだ?
幸せな人生だったのかな?
と生意気にも思ったことがあります。
でもさ、私もなんのために産まれてきたのかって、よく分かんない。
そもそも当人じゃないのに勝手に悩んで悲しんで…。
火葬の際、本人の好きだったものを棺に入れますが、大抵食べ物が多い。
本人の周りにあんぱんを並べ、一緒に過ごした仲間と合掌…の最中にあんぱんへと向かって伸びる手がちらほら。
火葬の後、本人と親しかった利用者と共にお骨を拾う。
あうんの呼吸がとれないので、
骨に指をさして、
この骨だからね。これを一緒にお箸で拾うんだよ。
と言うと、案の上違う骨を拾う。
しまいには、箸が上手く使えない利用者も多いので落としてしまい、骨が砕けることも。
別の利用者の火葬の際には、
耳の骨がいい!
なんてリクエストされることも。
大きな声を出さないで!
丁寧に持って!
箸渡しどころか迷い箸!刺し箸になってるよ!
騒がしいお葬式ですが、これはこれで寂しくなくていいのかな。
障がい福祉の現状。様々な問題・課題があります。
けれど、それは私たち健常の支援者が勝手に思い込んでいるだけかもしれないということを肝に命じないとですね。
↑栗を食べて泣く恐竜
今日も日々悩みながら、合掌。